借金 時効 消滅時効援用 費用 通知書

借金の返済義務がなくなる消滅時効の援用とは

やむを得ず借金をしてしまい、その返済に困った経験はないでしょうか。
借金の額が大きくなると利息も大きくなり、ますます返済が難しくなってしまいます。
「借りたものは返す」。これは大前提でありますが、どうにもならなくなってしまった場合に有効な制度があります。

 

 

【消滅時効の援用とは】

 

消滅時効の援用とはどういったものなのでしょうか。
簡単に言ってしまえば、「借りてから一定の期間が経ったので返済しなくてよくなる」というものです。
具体的に見ていきましょう。
一定の期間とは「時効」のことです。
商法第522条および民法第167条により、業者から借りた場合は5年、個人から借りた場合は10年が時効と定められています。
これらの期間を過ぎれば、債権自体が消滅するため、貸主は借主に請求ができなくなります。
言ってしまえば借金を踏み倒すことと同義なのですが、一定の条件を満たした場合、法律上これが認められることになります。

 

 

【消滅時効の援用の条件】

 

債務者にとって強力な助けとなる制度ですが、運用するためには条件があります。
それは、「返済をしていない状態で時効が成立する」ことです。
最後に返済したタイミングからカウントし、時効が成立することが条件となります。
仮に時効経過後であっても債務の一部を返済した場合、
そこから再度カウントが始まり、時効が成立するまで消滅時効の援用を行使できなくなります。

 

少しだけでいいからと迫られ少額でも返済してしまうと、この制度の行使が難しくなってしまうので注意が必要です。

 

 

【消滅時効の中断】

 

行使の条件として時効の成立を説明しましたが、時効のカウントが中断されてしまうことがあります。
例えば、貸主から「内容証明郵便」で返済を催促された場合、時効成立が半年延長されます。

 

その他、「差し押さえ」を受けた場合は完全に中断され、そこから再度カウントし直します。
消滅時効の援用を行使する場合は、このような消滅時効の中断を考慮して時効が成立したことを証明しなければなりません。

 

 

【消滅時効の援用を行使する方法】

 

先に説明した消滅時効の中断を考慮し、時効が成立期間が経過したとしても、ただ待っているだけでは消滅時効は適用されません。
貸主に対し、消滅時効の援用をするといった内容を記載した文書を「内容証明郵便」で発送する必要があります。

 

内容証明郵便とは、いつ、誰が、誰に、どのような内容の文書を発送したかを証明します。
普通郵便ではこういったことが保証されないため、仮に貸主が消滅時効を認めない場合、発送した証拠とすることができなくなってしまいます。
できれば、法律家に相談のうえ、文書作成から発送まで行うとよいでしょう。
こうして相手に消滅時効が成立したことを伝えることを「援用」と言います。

 

 

<この記事のポイント!>
借金でどうにもならなくなってしまった方を助ける強力な制度、「消滅時効の援用」。

 

返済をしないまま一定の期間が経った場合と、条件は難しいものですが、もし行使できるのであれば一考の余地は大いにあると言えます。
専門的な知識が必要となるため、個人で行うにはややハードルが高いのも事実ですので、行使をお考えの方は、一度法律家に相談してみるのがよいでしょう。

債権者へ内容証明として消滅時効の援用の通知書を郵送する

借金を返せないという場合の大きな助けとなる「消滅時効の援用」という制度。
利用するためにはいくつかの条件を満たす必要がありますが、債権自体の消滅が法律的に認められるという債権者には大きなメリットがあります。

 

 

【援用とは】

 

まず、援用という言葉について説明しておきましょう。
法律では、援用とはある事実を利益ために主張することとされています。

 

つまり、消滅時効の援用とは、時効が成立し債権が消滅したことを借主が主張することなのです。
時効の制度を利用する場合には、援用が必要となりますので、時効の期間が経過していたとしても相手にしっかりと主張しない限り、
消滅時効の援用は認められませんので注意が必要です。

 

 

【援用の方法】

 

消滅時効の援用をするためにはどのように貸主に伝えればよいでしょうか。
援用をするためには文書の郵送、具体的には「内容証明郵便」を利用することになります。
これは、内容証明郵便が「誰が、誰に、いつ、どんな内容の文書を発送したか」を郵便事業株式会社が公的に証明してくれるためです。

 

内容証明郵便によって得られるメリットを以下に挙げます。

 

まず、消滅時効の援用をしたという証拠を得ることができる点です。
法的な効力を発生させるための重要な通知、意思表示をしたことを証明してくれるため、
時効の援用のほか、クーリングオフや契約の取り消しなどに使われます。

 

次に、心理的に圧力を与えることができる点です。
内容証明郵便は、内容を証明するだけで、その正当性は示されません。

 

しかし、内容証明郵便を利用するということは強い意志を相手に伝えることになるため、
心理的な圧力を感じさせ、無視できず行動せざるを得ない状況を作れます。

 

定形郵便など通常の郵便では、郵便事故の発生や相手が読まずに廃棄してしまう可能性があるため、消滅時効の援用を行った証明にはなりにくいのです。

 

多少手間や費用が掛かってしまいますが、必ず内容証明郵便を利用しましょう。

 

 

【内容証明郵便の書式について】

 

内容証明郵便には、細かく定められた書式があります。
これに従わない文書は発送できないため注意が必要です。

 

書式について簡単に紹介します。
まず、1行の文字数について。
縦書きの場合は1行20文字以内、1枚26行までとなっています。
横書きの場合は以下のいずれかとなっています。

 

・1行20文字以内、1枚26行まで
・1行13文字以内、1枚40行まで
・1行26文字以内、1枚29行まで

 

次に用紙についてですが、特に制限はありません。
しかし一般的には内容証明用の用紙に手書き、もしくはA4の用紙でパソコンで作成します。
その他気を付ける点として、相手に発送するもの以外に、差出人と郵便局で保存する文書の計3部が必要です。

 

 

<この記事のポイント!>
消滅時効の援用をするためには内容証明郵便で相手に主張する必要があること、および内容証明郵便とは何かついて紹介しました。
普段見慣れないものではありますが、法的な効力を発生させるためには必要な知識です。
しっかり押さえておきましょう。

消滅時効の援用の内容証明の書き方

時効により借金を消滅させるためには、援用を行う必要があります。

 

そのために、内容証明郵便で「時効援用通知書」を郵送するという方法をとります。
では、その書類には何を書けばいいのでしょうか。

 

 

【記載必須の項目】

 

早速、通知書に書くべきことについて説明します。
時効援用通知書を作成する際に、記載しなくてはならない項目は大きく4点あります。

 

(1) 債権の特定
(2) 時効が成立していること
(3) 時効を援用する意思
(4) 差出人の連絡先や作成日

 

以上の項目について、説明します。

 

 

【(1) 債権の特定】

 

まず、消滅時効の援用をする対象となる債権の情報を記載します。
これにより、その通知書で消滅時効の援用を実施する債権を特定できます。
通常は以下のような情報があれば特定が可能となります。

 

・借入日
・借入額
・契約番号
・借主の氏名
・借主の住所
・借主の生年月日

 

このうち、業者から借りた場合に書く契約番号は重要で、仮に借入日や金額がわからなくても、契約番号さえあれば十分特定できるでしょう。
個人の場合には契約番号はないと考えられるため、他の情報をしっかり記載しましょう。

 

なお、業者から借入しており、かつ借入時から引っ越しをしているなど変わっている場合、業者が持っている住所の情報は引っ越し前のものとなりますので、通知書に記載すべき住所も引っ越し前のものとなります。

 

 

【(2) 時効が成立していること】

 

消滅時効の援用を行うために必要なこととして、時効が成立していることを貸主に伝えなくてはなりません。
時効のカウントは最後に返済した日の翌日から行われ、そこから時効となる期間が経過していることを記載します。

 

具体的な記載としては、最終返済日の翌日から5年ないし10年経過しています、といった具合です。
最終返済日が明確である場合はそれも記載しましょう。

 

また、時効が成立するために必要な期間は、基本的に業者から借りた場合は5年、個人から借りた場合は10年となります。

 

 

【(3) 時効を援用する意思】

 

時効を援用しますということを書くことで、初めて時効援用通知書になります。
従い、「時効を援用する意思」を必ず記載しなくてはなりません。

 

具体的な書き方自体は至極単純なもので、「時効を援用します」と書くだけで時効援用通知書として十分効果を発揮します。
非常に簡単な項目ではありますが、忘れてはいけないものですので、しっかり確認しましょう。

 

 

【(4) 差出人の連絡先や作成日】

 

消滅時効の援用をできるのは、援用によって利益をえることができる人物、つまりは借主だけとなりますので、誰が援用するのかという情報が大変重要です。

 

そのため、氏名や住所などを記載し、援用する人物を明らかにしなくてはなりません。
具体的には、氏名、住所、連絡先(電話番号など)、そして援用する日付を記載します。
内容証明郵便のため、日付は郵便局でも記録しますが、文書中にも記載しておきましょう。

 

 

【テンプレートおよび作成依頼について】

 

いちから作成するのはなかなか難しいものです。
その参考として、インターネットで通知書のテンプレートを手に入れることができます。
また、内容証明郵便には所定の書式を満たすことも必要ですので、テンプレートの利用はもちろん、
時には法律家などの専門家に依頼するということも方法として挙げられるでしょう。

 

 

<この記事のポイント!>
貸主に郵送する時効援用通知書の書き方について紹介しました。
具体的にはテンプレートを参考にして作成するのが近道でしょう。
記載不備により認められなくなってしまっては元も子もありません。
作成時にはひとつひとつ確認しながら進めましょう。

返済をするタイミングを間違えると時効援用が喪失します

消滅時効の援用を行うには、一定の期間を経過するなどの細かな要件があります。
要件を満たすためには、返済のタイミングが非常に重要で、タイミングを誤ると消滅時効の援用の行使ができなくなる(喪失してしまう)ことがあります。

 

どのような条件を満たすと喪失してしまうのか、また喪失したら援用はできなくなってしまうのか。
本記事では、時効援用の喪失に関する情報をお届けします。

 

 

【消滅時効の援用ができなくなる条件】

 

消滅時効の援用を行うには、一定の期間が経過したことを主張する必要があります。
この「一定の期間」とは、「最後に返済した日」から「5年ないし10年」のことです。
借入日からカウントするものと勘違いされてしまうことも多いので、注意が必要です。

 

消滅時効の援用を行うためには、返済していない期間が5年ないし10年経過し債務を承認していないことが原則です。
返済をしてしまうと債務を承認していると判断され、援用が行えません。

 

たとえ時効が完成する期間が過ぎていたとしても、返済の請求が来たなどで返済をしてしまった場合は、時効援用が喪失し、
そこから再度一定の期間が経過しないと消滅時効の援用は行えません。

 

このことは、過去に最高裁が下した判例で示されています。

 

消滅時効が完成した後に債務者が一部でも返済した場合、債務者は時効の援用をする意思がないものと債権者が信頼することになり、
従って時効の援用をするのは債権者の信頼を裏切ることになるため、信義則上消滅時効の援用はできない、というものです。
※信義則とは、信義誠実の原則の略。互いの信頼や期待を裏切らないよう誠実にすべしという法原則のこと。

 

 

【返済をしていても消滅時効の援用が認められるケース】

 

時効援用が喪失する条件とその理由について説明しましたが、では、条件を満たせばただちに喪失してしまうのでしょうか。

 

信義則という言葉がありましたが、これは当然債権者にも適用されます。

 

債権者が信義則に反するような行動や態度により債務者に返済をさせた場合、時効援用の喪失は信義則上認められないことがあります。
具体的には、債権者が時効の成立を知っているうえでそのことを債務者に伝えず少額の返済を求めたり、債権者が債務者に威圧的な態度で返済を求めたりした場合です。

 

このような行動は、不当な請求行為にあたり、これによる時効援用の喪失は信義則上認められません。

 

このように時効援用の喪失が認められなかったケースとして、借入額に対し余りにも少額な返済が行われたが以降返済が全くされていない、
少額の返済をさせて時効援用を喪失させて残額や遅延による多額の利息を請求した、といったものが判例として記録されています。

 

信義則が判断に使われる場合、債権者と債務者間の様々な事情や何があったかが総合的に判断されます。
不当な請求が行われていたと判断された場合は、消滅時効の援用を行える可能性があります。

 

 

<この記事のポイント!>
本記事では、時効援用が喪失してしまう条件、そして条件を満たしても時効援用の喪失が認められないケースがあることを紹介しました。
信義則は具体的に何があったのかが判断材料となりますので、一概に結論を出すことは難しく、各々のケースによって判断が異なるでしょう。
司法による判断が必要になる場合を考え、事実関係を整理しておくことが重要です。

消滅時効の援用の費用

消滅時効の援用を行うためには、内容証明郵便による債権者への通達が必要になります。
そのためには、少なからず費用がかかることになりますが、具体的にどの程度の費用を考慮すればよいでしょうか。
本記事では、全て自分で行う場合と専門家に依頼する場合とを分け、消滅時効の援用にかかる費用について紹介します。

 

 

【自分で行う場合】

 

全てを自分で準備して消滅時効の援用を行う場合は、内容証明郵便を送るために掛かる料金が主な費用となります。
内容証明郵便の料金は以下の式で算出されます。

 

内容証明郵便の料金 = 基本料金 + 一般書留の加算料金 + 内容証明の加算料金 + オプション

 

基本料金とは通常の配達料金で、定形25グラムまでであれば82円、定形50グラムであれば92円といった料金です。

 

一般書留の加算料金とは書留料です。

 

つまり、内容証明郵便は書留の一種ということになります。
これは一律430円となっています。

 

内容証明の加算料金とは内容証明郵便を送る際にかかる料金です。
書類が1枚なら430円、以降1枚ごとに260円ずつ加算となります。

 

オプションとは、速達や配達証明などのオプションサービスです。
利用する場合は各サービスに応じた料金が発生します。

 

上記から、ざっと計算すれば1000〜1500円程度と考えておけば間違いないでしょう。

 

ある程度消滅時効の援用に関する知識がある、一度経験したことがあるなどの場合は、自分でやってみるという選択肢もアリです。

 

 

【専門家に依頼する場合】

 

消滅時効の援用を依頼する場合、専門家として行政書士、司法書士、弁護士が挙げられます。
まずは依頼する場合の相場を以下に示します。

 

行政書士 8,000〜25,000円/1件
司法書士 30,000/1件
弁護士  個別に見積もり

 

費用に違いがありますが、その理由は対応範囲が異なるためです。
行政書士は書類作成を行うのみで、それ以降の債権者とのやり取りなどは行いません。
司法書士、弁護士は代理人として全ての手続きを代行してもらうことができます。

 

手続きにはどうしても法律に関する知識が必要となりますので、消滅時効の援用を確実に行いたい場合には、費用が掛かってでも司法書士や弁護士に依頼するとよいでしょう。

 

また、仮に消滅時効の援用ができないという場合でも、ではどうすればよいかをそのまま相談できるという点も大きなメリットです。

 

<この記事のポイント!>
本記事では、消滅時効の援用にかかる費用について、自分で行う場合と専門家に依頼する場合に分けて紹介しました。

 

単純に費用だけで見れば自分でやればよいのではと考えがちですが、全て自分で行うということは、内容証明郵便を送る以外にも債権者とのやり取りなど全て行うということです。

 

消滅時効の援用の手続き自体はそれほど難しくはありませんが、それ相応に負担はありますので、それを考慮した上で手段を選択しましょう。

 

専門家に依頼する場合は費用がネックですが、書類作成から代理人まで、相応のメリットがあります。
消滅時効の援用に関する知識に自信がない場合などは、しっかり専門家に依頼した方がより良い状況にすることができるでしょう。

 

もちろん、どちらが正しいということはありません。
各々の状況に応じてより良い選択をしましょう。

消滅時効の援用に求められる条件

消滅時効の援用とは、借金を法的に消滅させることができる制度です。
しかし、これの行使のためには条件を満たす必要があります。
本記事では、時効を成立させるための条件について紹介していきます。

 

 

【時効期間の経過】

 

時効という言葉からわかるように、借金してから一定の期間が経過した場合、消滅時効の援用を行使する条件が整うことになります。

 

ここで、2点ほど気を付けるべきことがあります。
ひとつは「一定の期間の経過」です。
これは、「誰に借りたか」により期間が異なります。
誰に借りたかによって、時効は5年の場合と10年の場合に分けられます。
具体的な例を以下に示します。

 

時効の援用に必要な期間が5年となる場合
・消費者金融から借りた場合
・銀行から借りた場合

 

時効の援用に必要な期間が10年となる場合
・親類や知人など事業を行っていない個人から借りた場合
・信用金庫から借りた場合

 

このように、誰から借りたかによって時効の援用までに必要な期間が大きく異なります。
サラ金や銀行などの一般的な借金は5年、知人から借りた場合は10年と考えておけばよいでしょう。

 

もうひとつは時効期間をどのタイミングからカウントするかということです。
これを時効期間の起算日といいます。
起算日は、返済日の設定の有無によって変わってきます。
具体的な例を以下に示します。

 

返済日が設定されている場合
・返済を全くしていない場合は、返済日の翌日から
・一部でも返済をした場合は、最後の返済日の翌日から

 

返済日が設定されていない場合
・返済を全くしていない場合は、借金した日の翌日から
・一部でも返済をした場合は、最後の返済日の翌日から

 

このように、基本的には「最後の返済日の翌日」が起算日となることがわかります。
逆にいえば、まったく返済をしていない期間が5年ないし10年経過すれば、消滅時効の援用を行使できる条件が整うことになります。

 

 

【時効期間の中断】

 

時効期間が経過すれば消滅時効の援用を行使できるようになりますが、ある要件を満たすと時効期間の経過が中断される場合があります。中断がされてしまうと、改めてそのタイミングが起算日となり、時効の成立まで再度5年ないし10年の経過が必要になります。
具体的に例を以下に示します。

 

・貸主からの請求
貸主が裁判所へ請求を行い、借金の返済義務があると判決が出た場合、時効は中断され、時効までに改めて10年間の経過が必要になります。

 

・差し押さえ
貸主が借主に対し、裁判所を通して差し押さえや仮処分の申請を行った場合、申し立てのタイミングで時効は中断されます。

 

・債務の承認行動
借主が貸主に対し一部でも借金の返済を行ったり、支払い日の延長を申し入れた場合、いずれも借金があることを承認したとみなされ、時効は中断されます。

 

上記から、借金があることを借主が認めた、あるいは法的に借金があることが認められた場合、時効が中断することがわかります。

 

 

<この記事のポイント!>
本記事では、消滅時効の援用を行使するための時効期間、またそれが中断してしまう要件について紹介しました。
時効期間は長く、時効が成立しているかどうかは個人ではなかなか判断しにくいものですので、消滅時効の援用に関する相談ができる専門家を探すという選択肢も考えるのが得策でしょう。

消滅時効の援用後の信用情報はどうなる?

消滅時効の援用を行う場合、気になるのは信用情報。
言ってしまえば借金の踏み倒しのようなものであるため、信用情報がどうなってしまうのか心配な方も少なくないでしょう。
本記事では、消滅時効の援用を行った場合の信用情報について紹介します。

 

 

【信用情報とは】

 

まず、信用情報について説明します。
信用情報とは、ローンやクレジットなどの契約内容、返済状況、利用残高といった信用取引の事実に関する情報です。
信用情報は信用情報機関にて管理されており、自分の情報を取得することも可能です。

 

しっかり期日までに返済をしていたり、無理のない借り方をしていると信用情報は優良なものになります。
逆に、返済を遅延していたり、所得に対して多額の借入をしていると、信用情報はあまりよくないものになるでしょう。

 

なお、信用情報の訂正・削除は、登録内容が事実であればできません。
簡単に書き換えられてしまっては、信用情報機関として成り立ちません。
日頃から、信用取引は誠意をもって行うよう心がけましょう。

 

 

【信用情報機関】
次に、信用情報を管理する機関について説明します。
大きく分けて以下の3機関があります。

 

・株式会社日本信用情報機構(JICC)
・株式会社シー・アイ・シー(CIC)
・全国銀行個人信用情報センター

 

それぞれ、債権者ごとに一定の住み分けがなされており、JICCは消費者金融、CICは信販会社、全国銀行個人信用情報センターは銀行となっています。
その中でも最大手のJICCには、信販会社や銀行の一部も加盟しています。

 

 

【消滅時効の援用後の信用情報】

 

では、消滅時効の援用後の信用情報がどうなるのかについて説明します。

 

まずは、日本信用情報機構(JICC)における取り扱いについてです。

 

加盟している業者から「時効による債権の消滅」が報告されると、債権のファイルごと削除され、「該当情報なし」となるようです。
つまり、信用情報からその債権に関する情報がなくなります。

 

なお、しっかり完済した場合は「完済」という情報になり、返済をしっかり行う人物として優良な信用情報になります。

 

次に、シー・アイ・シー(CIC)における取り扱いについてです。

 

同様に「時効による債権の消滅」が報告されると、「契約終了」もしくは「貸し倒れ」という状態になるようです。
どちらになるかは加盟している業者からの情報次第です。

 

ちなみに、消滅時効の援用を行使する前は「延滞」という状態になっています。

 

援用後、「貸し倒れ」となった場合はあまりよくないイメージに感じますが、援用せずに「延滞」となったままよりはよいでしょう。

 

 

【信用情報のために援用すべきか否か】

 

先に紹介した通り、消滅時効の援用を行った場合、信用情報は「なくなる」か「貸し倒れ」といった情報になります。
しっかり返済しきった場合は「完済」となります。

 

どちらが信用情報として優良なのかは、一概には言えません。
当然、時効期間が経過後もあえて完済することは可能ですし、完済せず消滅時効の援用を行うのもひとつの選択です。
少なくとも、どちらもせず「延滞」となっているよりはいいですので、何もしないのではなく、どちらかを選択するようにしましょう

 

<この記事のポイント!>
本記事では、消滅時効の援用した場合の信用情報について紹介しました。
基本的に消滅時効の援用を行っても信用情報に対するデメリットはありません。
少なくとも、何もしないよりは援用を行った方が信用情報にもよいです。
完済か時効の援用か、しっかり吟味して選択しましょう。

借金時効の援用を行う上での注意点

消滅時効の援用の行使には、専門的な知識が必要になります。
しかしながら、消滅時効の援用は全て個人で手続き可能なため、知識が伴わずに手続きを行い、失敗してしまうという事例が見受けられます。
本記事では、失敗しないように注意すべき点を説明します。

 

 

【消滅時効の援用の流れ】

 

まずは、消滅時効の援用の手続きの流れを見てみましょう。
基本的には以下のように手続きを進めていきます。

 

@.時効期間が経過し、時効の援用が可能となった
A.時効期間中、時効の中断がなかった
B.@、Aを満たしたら、内容証明郵便で時効が成立したことを伝える
C.債権者が確認後、時効が成立し債権が消滅する

 

この中で、注意すべき点はAの時効の中断です。
様々な要因で時効の中断が発生しますが、気付かないうちに時効が中断していたということも少なくありません。

 

 

【時効の中断】

 

時効の中断とは、ある一定の要件を満たしたとき、時効期間がリセットされ、再度カウントが始まるというものです。
時効の中断が有効となる要件を以下に挙げます。

 

・裁判所からの請求
・債務の承認
・差し押さえ

 

裁判所からの請求には、「訴訟の提起」、「調停申立」、「即決和解の申立」、「支払督促」があります。
このうち、訴訟の提起は時間と費用が掛かるため、一般的にはあまり行われません。

 

また、「調停申立」と「即決和解の申立」は基本的には話し合いとなるもので、その結果に応じて時効の中断が有効になります。
この中で最も気を付けるべきは「支払督促」です。

 

返済を滞納した場合、裁判所から支払いの督促が送られてくることがあります。
これは、債権者が裁判所を通じて債権の支払いを公的に督促するものです。

 

この督促を放置した場合、債権者の主張が全面的に認められ、時効期間がそこから10年延長されてしまうことになります。

 

債権者に実家や引っ越し前の住所のみを伝えていて、督促が実家に送られてきた場合、本人は全く気付くことなく時効期間が延長されてしまうというケースが多々あります。

 

支払いの督促はしっかりと対応するようにしましょう。

 

 

債務の承認とは、債務者が債権があることを認めることです。
一部でも返済に応じた、支払の誓約書にサインをしたなどが該当します。
これにより、時効は中断し、改めてゼロからカウントすることになります。

 

 

差し押さえとは、債権者が裁判所より強制執行の許可を得た場合、債務者の財産を差し押さえることです。
この場合、自動的に時効の中断が有効になります。

 

 

【消滅時効の援用の注意点】

 

注意すべきは、時効の中断が有効な状態で消滅時効の援用の手続きを行い、時効が成立していないことが判明した場合、債権は消滅せず、加えて債権を承認したと判断されて時効期間がリセットされるという状況に陥ります。

 

また、書類の不備により援用が完了できなかった場合も、同様に債権の承認とされてしまいます。

 

このため、消滅時効の援用には細心の注意が必要です。
自分で行うことが不安であれば、専門家に依頼するのがよいでしょう。

 

 

<この記事のポイント!>
本記事では、消滅時効の援用を行う際に注意すべき点について紹介しました。

 

失敗事例の多くは、時効が中断されていることに気付かずに消滅時効の援用の手続きをしてしまい、時効が成立せず、さらに再度時効期間がリセットされてしまうというものです。

 

時効期間の経過状況や時効の中断の有無がはっきりとわからない場合は、専門家に相談し、手続きを勧めていくのが賢明でしょう。

▼参考サイト